宵っ張りラジオステーション

夜更かしさん向けのラジオ放送局!

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【眠れない夜のお供に】夜が暗いことは宇宙の永遠を否定するか

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太陽が西の空に沈む。

 

 

空は何万光年も先から届く小さな光の粒たちのおかけで、かろうじて暗闇を免れていた。

 

 

 

深海に生を受けたものを除き、すべての生物のDNAが知っているように

この星には昼と夜が交互に訪れる。

 

 

何千年も前から人類はこのことを知っている。

 

紀元前2000年ごろ

エジプトでは太陽暦が、

メソポタミアでは太陰暦が発明された。

 

古代の人々が天体の動きを注意深く観察し、一定の周期があることを発見したことによる大きな功績だ。

 

 

太陽や月の動きによって、昼と夜が繰り返される。

まるで人々に、光明と暗闇を交互に生きることを強いているかのようだ。

 

 

古代人に宇宙の神秘を想像することはできなかった。

 

 

そのため古代人は、天上には神の住む世界が存在し

地上へ恩恵や災難を与えるのだと考えるようになっていった。

 

 

夜は暗い。

当たり前のことである。

 

 

いや、照明の普及によって夜は明るくなったと言ってもいいかもしれない。

 

しかし、夜を光明の刻と呼ぶには程遠い。

 

 

これは地球人にひとつの真理を提示している。

 

宇宙はあるとき、突然誕生したということである。

 

 

 

 

 

はい、どーも!!

宵っ張りラジオステーションはじまります!

 

パーソナリティーガガーリンさんです。

 

 

今回はかなりイントロダクションに力を入れてみました。

小説チックになっていたでしょうか?

 

 

今日では宇宙について、いろいろなことが

分かり始めてきました。

 

 

そこで今回は

古代の人々は宇宙の起源についてどう考えていたのか

ということを振り返ってみようと思います。

 

 

実は「夜は暗い」ということが

宇宙誕生の秘密を解明する大きなヒントになっています。

 

 

 

まずはコーヒーでも準備して

ゆっくりしていってください!!

 

 

 

 

 

 

 

宇宙は永遠の昔から存在したのか

宇宙はいつ誕生したのか。

もしくは永遠の昔から存在したのか。

 

これは人類が空を眺めるようになってから

長い間議論がなされてきたことのひとつといってよいでしょう。

 

 

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聖書には「はじめに神は、天と地とを創造された」とあります。

(創世記 1章)

 

 

このように多くの宗教では、宇宙は神によって創造されたと語られます。

 

 

しかし、哲学者たちは神の介入を待たずとも宇宙が誕生できることを証明しようとしました。

 

代表的な人物が「アリストテレス」です。

彼は宇宙が「永遠の昔から、いまと変わらない姿で存在していた」

というように考えていました。

 

そうすれば、神の存在を証明しなくとも

この宇宙の存在を証明することができるからです。

 

さらに、「永遠なるものは創造されたものよりも完全だ」と語っています。

 

このころはイデアについて議論がなされていました。

アリストテレスもその一人で、

完全こそ真理と捉えるようにしていたのでしょう。

 

 

このように宇宙の起源を探す旅は

紀元前300年ごろから 始まりました。

 

しかし、この旅は困難を極めることとなりそうです…

 

 

 

テーゼとアンチテーゼ

西暦1800年ごろ

それまで信じられていた天動説が敗北を認め、

地動説が当たり前のように受け入れられるようになりました。

 

しかし、この時代になっても

宇宙の起源は見つかりそうもありません。

 

 

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哲学者のイマヌエル・カント

旅を続けていました。

 

カントは宇宙の起源を解明するために

二つの宇宙のモデルを考案しました。

 

「宇宙は、時間と空間に関して始まりを有している」

カントはこれをテーゼ(定立)と呼び

 

「宇宙は始まりを持たず、時間や空間にも限界はなく無限である」

これをアンチテーゼ(反定立)と呼びました。

 

 

ここからはそれぞれについて

時間と空間が有限であるか無限であるかを証明します。

難しいと思ったら飛ばしても問題ありません。

 

 

 

テーゼについては、

「時間や空間が無限ならば、今という時間は存在しなくなってしまうので、時間と空間は有限である。」

といったように証明が成り立ちます。

 

 

アンチテーゼについては、

「時間と空間が有限であれば、宇宙の始まり以前には空虚な時間が存在することとなる。空虚な時間や空間に宇宙が誕生するための条件がそろうはずがない。つまり時間と空間は無限である。」

という証明が成り立ちます。

 

 

つまりふたつの命題は、ともに証明可能であるということです。

 

相反する二つの命題がともに証明可能な時は、

二つの命題はともに偽、つまり「証明不可能」であることを意味します。

 

 

カントの考案したアンチノミー(二律背反)を用いても

大きな矛盾が生じただけになってしまいました。

 

 

万策尽きました。

天才物理学者がいれば助けてほしいものです。

 

 

 

閑話休題

自分で書いていても非常に難しいお話ですねこれ。

 

宇宙が永遠の昔から存在したのか…

もしそうならば、永遠の昔も、無限の未来も等しくなってしまいます。


未来はいずれ、永遠の過去に辿り着くことになるかもしれません。

そうなれば、時間は過去と未来をつなぐ円環のように流れるでしょうね。

 

 

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これはSF映画「メッセージ」にて、地球外生命体が発した”言葉”です。

 

 

「時間には始まりも、終わりもない」

 

この映画にはそんなメッセージが込められているのかもしれません。

 

 

20世紀最大の物理学者

ここでみなさんご存じの有名物理学者に

ご登場願いたいところではありますが…

 

まずはカントの決定的な間違いを指摘しておきましょう。 

 

みなさんに知っておいてほしいのは、

この時代の人々は「宇宙の存在に関わらず、時間だけは過去から未来へ永遠に流れている」

という致命的な勘違いをしていたことです。

 

これはカントに関わらず、この時代の学者たちの間でも

そう考えるのが自然でした。

 

「時間だけ」というのがポイントです。

 事実はそうではないのです。

 

 

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ここでようやくかの有名な「アインシュタイン」にご登場願いましょう!

 

アインシュタインの発明した一般相対性理論によると

「時間と空間は絶対的なものではなく、力学的な量で表せる」

時間は空間の影響を受けることで0にも無限にもなります。

 

 

つまり、宇宙空間が存在しなければ時間も止まったままです。

正確には、時間は空間の影響を受けて進んだり遅れたりしますが、空間がある特異点に達すると時間が進まなくなります。

(特異点に関しては後述します)

 

 

宇宙が有限だとしても、始まり以前の空虚な時間など存在しないのです。

 

宇宙空間が誕生した瞬間から時間が進みだした、と言ってもよいかもしれませんね。

 

これでカントのパラドックスは解決しました。

宇宙はあるとき突然誕生しても良いのです。

 

これだけでは宇宙の起源を説明することは出来ませんが、

科学の力だけで宇宙の起源を探す準備が整いました。

 

 

宇宙が永遠の昔から存在しようが、

あるとき突然誕生しようが、

神の介入は必要なくなりました。

 

 

では、結局宇宙に起源はあったのでしょうか。

 

 

ハッブル宇宙望遠鏡

 

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星雲と呼ばれていたかすかな光の集団が、膨大な数の恒星が集まった銀河であることを発見したのは1990年にハッブル宇宙望遠鏡が打ち上げられた後のことです。

 

 

この望遠鏡は夜空に広がる無数の恒星が非常に遠くにあることを観測しました。

 

 

 

ハッブル宇宙望遠鏡はさらに大きな発見をしました。

観測したすべての銀河が地球から遠ざかっているのです。

 

 

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「すべて」というのがキーワードです。

 

すべての銀河が時間の経過とともに遠ざかることは、時間を遡れば宇宙はある1つの特異点に巻き戻せることを意味します。

 

 

お察しが良いようですね。

 

 

宇宙はある1点から膨張し続けている。

つまり、宇宙はあるとき突然誕生したということです。

 

 

 

特異点

宇宙はあるとき突然誕生しました。

そして、それ以前はそもそも時間が流れていないので、カントの言うように矛盾が生じることはありません。

 

 

お察しの良い方なら、最後の疑問に気づいているかもしれません。

 

「時間が流れていないなら、なぜ宇宙は誕生したのか」

 

 

この疑問にはいまでも完全な回答が得られていません。

 

現在有力であるといわれている説を紹介します。

「宇宙の誕生の直前に一つの特異点が生じた」というものです。

 

 

特異点アインシュタイン一般相対性理論のなかで語られています。

順を追って説明しますね。

 

 

物体が他の物体を引き付ける力、「重力」は質量に比例します。

 

そして十分に質量のある星同士、主に恒星は

互いに引かれあいます。

 

この恒星同士は最終的にぶつかり、融合し、

さらに質量の多い恒星へと姿を変えます。

 

 

これを繰り返すと、この恒星は自分の重力で押しつぶされ

質量はそのままで体積が限りなく0に近づきます。

 

 

重力のかなり強いこの恒星は空間を捻じ曲げ、

他の物質や近くを通る光でさえ引き寄せて離しません。

 

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こうして恒星は、

質量は無限に増え続けるものの体積は0といった姿になります。

 

 

これではもう恒星とは呼べないですよね。

 

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これを特異点と呼んでいるわけです。

 

 

 

宇宙が誕生するときはその逆のことが起こります。

 

 

空間も時間もない、文字通りの「無」に

突如、体積が限りなく0に近い特異点が現れたとします。

 

 

特異点には無限に近い質量が詰め込まれているので、

そのエネルギーが一気に放出されて宇宙が始まったといいます。

 

以上が、現代でもっとも有力とされている宇宙の起源であり、

宇宙は永遠の昔から存在するわけではないことの証明です。

 

 

 

 夜が暗い

 

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ながながと遠回りをしたように感じます。

夜が暗い理由は分かりましたか?

 

 

答えは簡単です。

 

宇宙が永遠の昔から存在していたとすれば

宇宙には恒星の発する光が蔓延しているでしょう。

 

地球にも例外なくその光は届くでしょうから

夜なんてものは存在しなくなってしまいます。

 

宇宙があるときから時を刻みだしたから

夜が暗いんです。

 

 

夜が暗い、たったそれだけのことが

宇宙が永遠の命ではないことを物語っています。

 

 

紀元前2000年でも、夜が暗いことに変わりはありません。

 

当時の人に夜が暗い理由を教えたとしても、

4000年の遠回りなしでは

やっぱりここまでたどり着けないでしょうね。

 

 

宇宙の壮大さを見せつけられてもなお

科学の力で謎解きの旅を続ける研究者たちには

頭が上がりません。

 

 

ところで、宇宙誕生前には何も存在しませんでした。

完全なる「無」です。

 

「無」っていったいなんなんでしょうね。

次週はこのあたりをご紹介しようと思います!

 

 

ではでは、今日はこのへんで!

 

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みなさんもよい日曜日を!