【眠れない夜のお供に】非存在のエニグマ
どうも!
みなさんこんばんわ!
宵っ張りラジオステーション
私事ではございますが、
先日、新入社員の歓迎会がありまして
調子に乗ってお酒を飲みすぎました。
夜中の3時にこれまで味わったことのないような
頭痛で目を覚まし、朝まで頭痛と吐き気と戦い続けました。
頭痛薬を飲んだつもりだったんですが、
翌朝、冷静になってから
ビタミン剤の瓶のフタが開いているのを見て頭を抱えました。
みなさんもお酒の多いこのシーズン
お気を付けください。
さて、本日のテーマは
バリバリの中二病タイトルにあるように
非存在、つまり「無」についての
エニグマを解読してみようと思います!!
宇宙空間における非存在とは
一体どんな状態なのでしょうか?
真空といわれる宇宙にもたくさんの原子や電磁波が
飛び交っているのはご存じのことと思います。
ここで語っている「非存在」とはそれすらも存在しない世界です。
宇宙空間に存在するものをすべて取り除いていけば
いずれ完全な「非存在」にたどり着くはずです。
非常に長い話になりそうなので、
前後編に分けてお話します。
(もしかしたら3編構成になるかも)
エニグマ解読のために、
今夜は真空を作り出すことを考えてみましょう!
コーヒーでも飲みながらゆっくりしていってください!
(お酒はほどほどに…)
古代ギリシャにて
現在では当たり前に受け入れられている「原子論」ですが、
じつは古代からその原型と呼べる理論が存在しました。
はじめに原子論を唱えたのは「デモクリトス」という人物です。
このときの原子論は
この世には「ケノン」と呼ばれる空虚な空間があり、
「アトム(原子)」という粒が集まって物体となっている。
といった内容だったようです。
ケノンとは空虚であり、
非存在という概念はこのころから語られていました。
しかし、同じく哲学者の「パルニメデス」は
「有らぬものはない」として、原子論を否定しました。
古代の人類には空虚な空間というものを
想像できなかったのでしょう。
かわりにパルニメデス一派が提唱したのが、
「宇宙は目に見えぬもので埋め尽くされていて、空虚な空間など存在しない」ということでした。
「有らぬものはない」ということは
この後、2000年にわたって信じ続けられることになります。
しかし、パルニメデスの理論には確固たる証拠がありません。
彼らは皮肉にも「有らぬもの」を信じ続けてきたのです。
こうして真空への求道が始まりました。
世界のほとんどは「無」でできている
世界一の装置でも完全な真空を作り出すことはできません。
それにも関わらず、私たちの身の回りは
ほとんど「無」といっても過言ではないのです。
ヒントはミクロな世界です。
ここからは、真空を考える前に
真空ではない世界を考えてみることにしましょう!
ここにガガーリンさんの部屋があるとします。
部屋の中は一見、空気で満たされているように見えますが、
空気を構成する分子の大きさは非常に小さいんです。
その大きさは1分子あたり0.3ナノメートルほど。
そして、その分子同士の間隔は3ナノメートルほどだそうです。
分子の大きさにくらべて、分子同士の間隔が10倍もあります。
つまり、分子と分子の間には何もなく、真空と言えます。
人間サイズで考えるとわかりやすいかもです。
大きな会議室があったとして、たくさんの人がいます。
一人の横幅を50センチとすると、前後左右の人と
5メートルずつ等間隔に離れて立っているようなものです。
(我ながらシュールすぎる絵を描いてしまった…)
分子同士はそれくらい離れているということです。
さらにミクロな世界に目を向けてみましょう。
実は、原子の中身はもっと空っぽなんです!!
原子が原子核と電子から構成されているのは
高校のときに勉強しましたよね。
(覚えてない人は教科書引っ張り出してみてください)
実はこの原子核と電子の距離が異常に離れているんです。
例えば、水素原子の大きさは0.1ナノメートルほど。
そして原子核の大きさは0.000001ナノメートルほどです。
原子の大きさに対して、原子核の大きさは
その10万分の1です。
原子の大きさは原子核の周りを周回する電子の最大円周ですので、
原子核と電子は9万9999ナノメートル離れていることになります。
何を言っているかわからないと思うので、
絵を描きました。
原子核をけん玉の玉だと思ってください。
けん玉の玉を大きめに直径20センチとしてみます。
そして、玉の部分をもって柄をぶん回す!!
これはぼくがけん玉を振り回していたころの写真です。
けっこうキツかったです。
このときの半径は10キロメートルです。
いいですか、10キロメートルです。
ちょっと大きいけん玉を振り回したら
飛行機にぶつかるレベルです。
ようするにめっちゃ離れているってことです。
ミクロな世界ではこれが当たり前です。
朝飯前です。
これだけ離れていれば、
もう原子はほとんど「無」です。
物質はすべて原子から成り立っていますから、
世界はほとんど「無」といっても過言ではないのです。
Super KEKB
ほとんど「無」なんだったら
あとちょっとの努力で簡単に真空が作れそうですよね。
ところがそうでもないんです。
昔から真空をつくるために研究がなされてきました。
現代科学をもってしても真空はつくられていません。
一方で研究はかなりの進歩をみせているのも事実です。
いま世界で一番真空に近い技術をもっているのは
われらが日本の「Super KEKB」という装置です。
茨城県つくば市に設立された高エネルギー加速器研究機構で
10兆分の1気圧という超真空をつくることができます。
1気圧は1013.25hPaですから…
10兆分の1気圧とはほぼ0に近い数字です。
これが現状、人類の作り出せる真空の限界です。
しかし、完全な真空への探求は
これからもますます続いていくでしょう。
いつか原子ひとつすら存在しない空間を作り出す技術が
生まれてくるかもしれません。
話は逸れますが…
科学者たちはただ単に真空を作りたくて、
「Super KEKB」をつくったわけではありません。
量子力学の世界では、
微粒子がエネルギーに変わり、
そのエネルギーが別の微粒子に変わる
という現象が当たり前のように起こります。
これを研究する機関で代表的なものが
スイスの「CERN」と呼ばれる研究機構です。
加速器を用いて日々、研究がなされています。
いやー、かっこいいですね…
ロマンしかない…
もちろんSuper KEKBもそのひとつです。
加速器というのは、その名の通り
微粒子を加速させる機械のことです。
2つの微粒子を光の速さくらいまで加速させて衝突させると
その衝撃で微粒子が大量のエネルギーに変換されます。
そしてそのエネルギーがまた微粒子に変わる様子を観測するのです。
こうすることでエネルギーと質量の関係を導いたり、
新しい原子を作り出したりなどなど…
2つの微粒子を衝突させるときに
酸素や二酸化炭素などの分子が入ってしまうと
狙った微粒子同士の衝突の邪魔になってしまいます。
より精度の高い実験には
完全な真空がもっとも望ましいのです。
こうした経緯から、科学者たちは
「完全な真空をつくりだす技術をあきらめることはない」と思います。
真空≠非存在
真空への旅はこれでいったんおしまいです。
お疲れさまでした。
古代の哲学者たちは、夜になると空が暗くなることを
見えない物質で埋め尽くされていたと考えていたようですね。
ぼくもこの時代に生きていれば、
同じように考えていたかもしれません。
そしてついに現代まで、
完全な真空への道を辿りつつあります。
しかし、みなさんに知っておいてほしいのは
「真空≠非存在」ということです。
たとえすべての原子を取り除くことができても
空間にはまだまだ何かが存在しています。
さて、なんでしょうね?
次週は「真空にさえ存在する何か」を追求してみようと思います。
それでは今日はこの辺で!
みなさんもよい日曜日をお過ごしください!!
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