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【睡眠の正体に迫る!】眠りが刈り込む余計な記憶

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みなさん、こんばんわ!

ガガーリンです。

 

 

突然ですが、みなさんは

「なぜ眠るのですか?」 

 

 

この時期は、ゴールデンウィーク明けで寝不足の方も多いかもしれませんね。

 

「睡眠の質について考えたことはあるけど、眠る理由までは考えたことない」

という方が多いのではないでしょうか。

 

かくいうぼくも考えたことがありません。

 

 

ただ「目を閉じると気持ちいいから」

それだけです。

 

 

睡眠について長いこと研究されてきましたが、そのメカニズムは実はよくわかっていません。

 

寝不足で頭が働かない理由も、夢を見る理由も。

 

 

 

眠っている間、体は休んでいても脳は働きます。

夢を見ることがなによりの証拠です。

 

働き者ですね。

守りたい家庭でもあるんですかね。

 

 

さて、睡眠中の脳ではなにが起こっているんでしょうか。

最近の研究で、このメカニズムが徐々に明らかになってきました。

 

 

少し長い話になりそうなので、2章構成にしたいと思います。

第1章となる今回は、生物が睡眠を必要とする理由について考えてみましょう。

 

 

 

 

 

 

睡眠が必要不可欠な理由はズバリ…

せっかちさんのために、一番最初に答えを書いておきますね。

 

 

生物に睡眠が必要な理由は…

 

 

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あっさりしすぎてますかね?

スイマセン…

 

 

しかし、これはあくまで”科学的”仮説です。

 

仮説ですので、もちろん証拠が揃っているわけではありません。

でも、なんとなくイメージしてみると納得する点が多いです。

 

 

みなさんが睡眠不足のとき、一番最初に不調を訴えるのは体のどの部分ですか?

 

 

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”脳”ですよね。

おそらく、大半の方がそうだと思います。

(”意識”と言い換えても良いかもしれませんが…)

 

寝不足の日は勉強も仕事も捗らず、言われたことを覚えていない

なんて経験は誰にでもあると思います。

 

 

このような実体験から、睡眠と記憶が 密接に関係しているのは明白です。

 

 

 

反復練習が重要な理由

少し話は逸れますが…

 

 

みなさんは、反復練習の経験はありますか?

なんども同じことを練習するアレです。

 

ぼくはピアノ教室に通っているんですが、

通い始めのころ、10分間”ド”だけを弾くという練習をしたことがあります。

 

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これがほんとにつまらなくて、通うのを辞めようと思いました。

 

 

あとになって、この反復練習の意味に気づきました。

繰り返し練習することこそが、正しい指使い・姿勢、リズム感、音感を身に着ける一番の近道になるのです。

 

 

スポーツや勉強、仕事でも同じことがいえると思います。

 

この反復練習、またの名を下積み・基礎・土台と言います。

(ぼくが言うのもなんですが、最近の若い人は下積みを軽視する傾向が顕著な気がします)

 

 

 

たとえばサッカーなら…

 

狙った場所にボールを蹴るためには、何度もボールを蹴って力加減や最適な体勢を身に着けますよね。

 

はじめはうまくいかないのは、脳からの指令がうまく体に伝わらないからです。

何度も繰り返すことで、いずれ脳からの指令はスムーズに伝わるようになります。

 

 

 

文章力や外国語の習得といった、記憶についても当然同じです。

何度も練習するから身に付きます。

 

 

これ”は記憶の強化”に他なりません。

この場合の”記憶”とは、「脳から神経を伝って目的の動作をする道のり」を意味します。

 

 

脳と神経と体を絵に描いてみました。

 

はじめはルートAを辿って足を動かしていましたが、やがてルートDのほうが効率が良いことに気づきます。

 

 

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ルートDは良く指令が通る道なので、頑丈な道にしなくてはならないですよね。

ということで、ルートDはこんなに太くなりました。

 

 

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外国語を話すときも理屈は同じです。

 

反復練習とはちょっと違うかもしれませんが

よく使う言葉への道のりは、一番近くて太い道になっていきます。

 

 

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これがまさに”記憶の強化”です。

反復練習することは記憶を強化することなのです。

 

 

 

 

そういえばさっき、睡眠を必要とする理由が”記憶の強化だ”と言いましたね。

 

 

ん…??

 

反復練習は起きていないと出来ないぞ…?

起きているときに記憶が強化できるなら寝る必要はないんじゃ…?

 

 

矛盾してるような気が…

 

 

 

 

シナプス恒常性仮説

反復練習による記憶の強化

 

睡眠による記憶の強化

 

 

2つの記憶の強化方法は、一見矛盾しているように見えます。

 

 

 

この疑問を解消するために、まずは神経系について勉強しましょう!

 

 

神経と神経をつなぐ役割を担うのはシナプスです。

 

繰り返し神経に指令を送り続けるとシナプスの結合が強化されていき、大事な記憶として脳に蓄えられます。

 

これがさっき述べた道のりのことです。

シナプスは交差点だと思ってもらうといいです。

 

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結合が強化された神経やシナプスは、よほどメンテナンスを怠らない限り強い結束を保ちます。

 

 

”体が覚えている”とはまさにこのことですね。

 

ぼくがこの記事を書くにあたってキーボードをスムーズにタイピングできるのも

繰り返しタイピングを続けたからシナプスの結合が強化されたためです。

 

一週間タイピングしなかったからといって、記事が書けなくなることはありません。

 

 

反面、あまり使わなかった神経はシナプスの結合は強化されません。

月に5分だけギターを練習して、バンドが組めるでしょうか??

 

先ほどの話から推測すると、たとえ月に5分の練習でもいつかはシナプスの結合が強化されて上達することになります。

 

 

でも現実はそんなに甘くないですよね。

 

 

 

この矛盾を、睡眠学者のトノーニは考えました。

そして、2006年にシナプス恒常性仮説」を唱えました。

 

トノーニはシナプス恒常性仮説の中で、こう言っています。

「睡眠中はシナプスの結合が弱まる」

 

 

つまり、睡眠によってそのリセットがかかるということです。

 

例のごとくイラストで紹介しますね。

 

3つのシナプスを見てみましょう。

 

シナプスA(交差点A)には、よく指令(車)が流通するのでシナプスの結合が大きく強化されます。

シナプスの結合レベルを”80”としましょう。

 

シナプスB(交差点B)は、ぼちぼち指令が流通しています。県道といった具合です。

結合レベルは”60”

 

シナプスC(交差点C)には、ほとんど指令が来ません。田んぼのあぜ道です。

結合レベルは”20”

 

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トノーニが言っているのは

「睡眠によって結合レベルが”同じ数だけ”下がる」

ということです。

 

同じ数というのが面白いところです。

結合レベルの大小は関係ありません。

 

 

睡眠によって結合レベルが一律”50”失われるとしたらどうなるでしょうか?

イラストにするとこんな感じです。

 

 

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一定以上強化されたシナプスの結合レベルは、睡眠によって”0”にはなりません。

一方あまり強化されなかったシナプスの結合レベルは、完全に”0”になってしまいます。

 

 

つまり、需要のないシナプスの結合は解除されるということです。

 

交差点で例えるなら、交差点が交差していないということです。

(自分で言ってて非常に分かりにくいのは自覚しています)

 

 

シナプスの結合が解除されれば、当然記憶や経験は消滅します。

 

月5分の練習では、ギターの弾き方を忘れてしまうというわけです。

 

 

シナプス恒常性仮説が訴えているのはこうです。

「需要のない記憶は睡眠中にリセットされる」

 

 

これを裏返すと、

「必要な記憶だけが残る」

 

 

つまり、”記憶が強化される”ということです。

 

 

 

話は 記事の頭に戻りますが、

「睡眠が必要な理由は、記憶を強化するため」

 

やっと答え合わせができました。

長々とお疲れさまでした。

 

起きている間にシナプスを強化することも、

寝ている間にシナプスをリセットすることも、

記憶を強化するために必要な工程だったわけです。

 

 

 

次回「睡眠のメカニズムに迫る…!」

 

ここまで読んで頂ければ、睡眠の意義についてはよくわかって頂けたかと思います。

 

しかし繰り返しますが、これらはあくまで”仮説”です。

脳の働きを細胞レベルで説明できなければ、睡眠を解き明かしたことにはなりません。

 

 

睡眠の研究には最新のテクノロジーが多く用いられています。

 

たとえば、

・DNAの塩基配列を読み取るシーケンサー

・狙い通りの遺伝子を操作するゲノム編集

 

などなど

 

日々進化するテクノロジーの力を以ってすれば研究の最終目的である

「なぜ眠るのか」を解明することができるでしょう!

 

 

さて、鋭い方ならこんな疑問を抱いているのではないでしょうか?

「記憶を整理するために睡眠をとろうなんて考えたことがない。」

「睡眠は記憶の強化のためだけに必要とするのってなんかおかしくない??」

 

 

ごもっともです。

おっしゃるとおりです。

 

 

もしかしたら、記憶の強化はオマケでついてくるだけかもしれません。

睡眠を必要とする理由はほかのところにあるのかも。

 

 

でも、脳の情報処理能力が、不要な記憶のせいで低下してしまうとしたら…?

 

脳の情報処理能力の低下が眠気の正体で、不要な記憶の処理が終わった合図として目が覚めるとしたら…?

 

 

実はその辺のメカニズムが分かっていないんです。

ただし、手がかりとなる成果も挙がり始めています。

 

研究の結果明らかになってきたメカニズムについては、次回の記事で紹介します。

乞うご期待!!

 

 

 

コラム「信念体系と非信念体系」

せっかくなのでちょっとしたコラムを…

もう疲れちゃいましたかね?

 

 

先ほど述べたように、睡眠については分かっていないことが多いんです。

 

 

それをいいことに、睡眠に関する都市伝説や噂が広まっているのをご存知ですか?

 

”睡眠は意識が宇宙とつながる時間だ”とか

”睡眠中は魂が休息のために天に還る”とか

”そもそも現実は実在せず、夢こそが本来の世界”とか

 

 

これらをすべて否定するつもりは毛頭ありません。

ぼく自身、こうゆう話は大好きですからね。

 

 

ただし、この都市伝説や物語を科学と等しく扱ってはいけません。

都市伝説を科学の否定材料に使うなんてことは以ての外です。

 

 

”科学”と”物語”には決定的な違いがあります。

 

それは、信じる必要があるか、否か

 

 

科学というのは、信じていようとなかろうと

そこに事象として存在するものを追求します。

 

たとえば、原子はだれがどう見ても存在します。

原子が存在しない証拠はありません。

 

これは長年の研究の結果、疑いようの”ない”事実だと認められています。

科学はこうした営みの積み重ねで成り立っています。

 

もちろん、原子が存在しない証拠がひとつでも見つかれば、疑いようの”ある”事実と呼ばれるでしょう。

 

信じていなくても存在する理論を”非信念体系”といいます。

 

 

 

反面、都市伝説や宗教は信じなければ存在しません。

 

太古の地球に宇宙人がいたといわれても、

それは疑いようの”ある”事象です。

 

信じる人にとってはそれが真実です。

でも、信じない人にとってはそれは偽物です。

 

信じなければ存在しない理論を”信念体系”といいます。

 

 

よくテレビで聞く

「信じるか信じないかは、あなた次第です。」

というセリフ

 

 

あれは

「科学的根拠は一切ありません」と言っているのと同義です。

 

 

繰り返しますが、都市伝説や宗教を否定するわけではありません。

 

ただ、目の前の事象が本当に正しいかを考えるとき

信じることをやめて、事実と向き合う必要があるでしょう。

 

 

科学に限らず、学問というのはこの積み重ねです。

常に疑いようの”ない”真実を探しています。

 

 

だれがどうみても真実だから面白いんです。

 

科学は面白いですよ。

どうしても勉強が必要になってしまうので、大変だとは思いますが…

 

特に数学や科学に数式は付き物ですからね。

でも、それがあるからこそ”誰がどう見ても真実だ”といえるんです。

 

 

これからもみなさんの科学へのハードルを下げられるような記事を書いていきたいと思います。

面白いと思ってもらえたら、幸いです。

 

 

以上、ガガーリンでした!!

 

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