宵っ張りラジオステーション

夜更かしさん向けのラジオ放送局!

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【眠れない夜のお供に】現代物理学の論理的帰結

 

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みなさんこんばんわ!!

 

宵っ張りラジオステーション

メインパーソナリティーガガーリンです!

 

 

4月10日は科学史に残るビッグニュースがありましたね!!

 

EHTプロジェクトがブラックホールの撮影に史上初めて成功しました。

ぼくもワクワクしなが記者会見の様子を見ていました。

 

 

ブラックホールについては前回の記事で詳しく触れていますので、興味のあるかたは読んでみてください!

 

今回の記事にも参考になる情報が入っていると思います。

 

mochimochinochi.hatenablog.jp

 

 

さて、前々回の記事で宇宙空間における「非存在」について考えてみました。

今回の記事はその続きです。

 

 

非存在とは言葉通り「存在に非ず」ということです。

そして非存在を追求するためには、宇宙に存在するものをすべて理解しなければなりません。

 

非存在を解明することは、宇宙の起源に迫る旅といってもよいかもれしません。

 

同時に、「存在する」とはなんなのか。

哲学的な問いの答えを探すことにもなります。

 

 

これまでは「真空」について考察しました。

まだ読んでない方は、先にこちらを読むと今回の話がより理解できると思います。

 

mochimochinochi.hatenablog.jp

 

 

今回も科学が存在を認めたもの、存在を予言しているものについて考察してきます。

原子ひとつすら存在しない「完全な真空」においても、実はなにが存在しています。

 

 

今回も中二病まっしぐらなタイトルですね!!

 

これから4つの謎をご紹介します。

この謎を糸口に「存在」をひとつずつ解明していくとしましょう。

 

そして最後には現代物理学の出した結論をみてみましょう!

 

 

コーヒーでも飲みながらゆっくりしていってください。

 

 

 

 

 

 

MYSTERY① 宇宙に存在する謎の空白領域

前々回の記事では真空について考えました。

 

真空とは原子ひとつすら存在しない空間のことです。

 

ここでみなさんはブラックホールを思い浮かべるかもしれませんね。

ところが、実はブラックホールは真空とは真逆の存在です。

 

ブラックホールはすべてを吸い込んでしまう”

こういった言い回しのせいでややこしくなってしまいますが、

 

ブラックホールが物質を吸い込むのは、重力が大きすぎて落とし穴を作ってしまうためです。

 

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ちょうどこんな感じです。

 

落とし穴には永遠に物質が落ちていきます。

物質が落ち続ければ質量は無限大になります。

 

真空にさえ存在するなにかを考察するには、ブラックホールとは真逆の存在を追わなければいけませんね。

 

 

誤解も解けたところで…

 

宇宙はとてつもなく広いですからいろんな場所があります。

全く何も存在しない場所があるかもしれませんよね。

 

実はほんとうにそんな場所があるんです。

 

 

それは「ボイド」と呼ばれる領域で、原子が1㎥あたり1個しか存在しません。

 

ちなみに地球の空気中にはどのくらい原子が存在していると思います??

(酸素や二酸化炭素などの合計)

 

 

正解は1㎥あたり53400000000000000000000個です。

 

 

比較してみると、その空白領域っぷりはたいしたもんです。

 

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ボイドの大きさは直径数億光年ともいわれています。

これだけ広大な空間でありながら原子の数が少なすぎて、ほぼ真空といっても過言ではありません。

 

さて、そんな真空空間にさえもなにが存在するというのでしょうか。

 

 

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それは「光」です。

 

 

ここでは発想の転換が必要です。

 

光は宇宙空間にぽつんと存在したりはしません。

常に光源からあらゆる方向に飛んでいきます。

 

ぼくたちに見えるのは「目に入ってきた光」だけです。

目にはいらずにそばを通り抜ける光は見えません。

 

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望遠鏡の原理もまったく同じなので、ボイドを横切る光は観測できません。

観測できない光を含めれば、ボイドも光で満ちていることでしょう。

 

 

このように光は真空空間でも大量に存在しています。

これで宇宙に存在する謎の空白領域にさえ「存在」を確認することが出来ました。

 

つぎに進みましょう!

 

 

 

MYSTERY② 見ることも触ることもできな謎の物質

「宇宙には見ることも触ることもできない謎の物質が存在する」

こんなことが言われだしたのは1930年ごろです。

 

フリッツ・ツビッキーという人物は銀河の重さを調べていました。

ツビッキーは銀河の質量を調べているうちにあることに気づきました。

(どうでもいいですけど、なんか声に出して言いたくなる名前ですね)

 

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似顔絵にはあんまり自信ないんですけど、特徴はとらえてると思います。

 

このとき銀河の質量を2つの方法で調べていました。

・銀河の運動を観測し、運動方程式を使って推定したもの

・銀河の輝度に基づいて推定したもの

 

この2つで求めた数値が同じなら実験は成功!

だったんですが…

 

2つの方法で求めた数値はなんと400倍もの乖離がありました。

これで銀河の正確な重さが分かりません。

 

ツビッキーはこのとき非常に鋭い考察をしました。

「目に見えない物質が存在するはずである」

 

研究者たちはこの謎の物質を「ダークマター」と名付けました。

 

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決して自分の研究が間違っていると認めたかったわけではありませんよ。

その後のさまざまな研究からも同じ結論が導かれています。

 

ただし、2019年現在ではその確たる証拠は得られていません。

 

近年だと2013年に欧州合同原子核研究機関の研究で

ダークマターは存在する可能性が高い」と発表しています。

 

 

たとえ真空で光すら存在していなくても、謎のダークマターは存在しています。

なぜならダークマターは見ることもできなければ、触ることもできない物質なのですから。

 

またひとつ、存在を解き明かしましたね。

 

 

MYSTERY③ 宇宙を膨張させる謎のエネルギー

宇宙は膨張しているということはいまや一般的に知られていますよね。

 

これを発見したのは、天文学者エドウィン・ハッブルです。

ご存じハッブル望遠鏡にその名がつけられています。

 

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ハッブルは銀河の動きを研究していました。

さまざまな銀河を観測しているとき、あるルールに気づきました。

 

「すべての銀河は地球から遠ざかっている」

 

これは大変な発見でした。

ひとつの例外なくすべての銀河が遠ざかっていることは、宇宙空間が膨張していることに他ならないからです。

 

 

 

この発見にさらなる追い風をもたらしたのが、一般相対性理論です。

この理論に基づくと宇宙空間は加速度的に膨張しているといった結論が得られました。

 

さらにこの理論は「宇宙が膨張するためには、そのためのエネルギーが存在するはずだ」と予言しました。

 

このエネルギーは「ダークエネルギー」と呼ばれています。

いまだ観測に成功していないことからこの名がつけられました。

 

「宇宙を成長させる謎のエネルギー」

またひとつ存在が明らかになりました。

 

 

MYSTERY④ ミクロな世界の奇妙なルール

非存在を追求する旅もそろそろ終わりです。

ここからはミクロな世界にフォーカスして考察をすすめてみましょう。

 

前回の記事でも触れましたが、ミクロな世界ではこれまでの常識が通用しません。

”あり得ない”ことが平気で起こります。

 

 

そんなあり得ないことのひとつに

「なにもない空間から、突然物質が現れる」

といったミクロ世界のルールがあります。

 

もはや常識が通用しません。

なにが起こっているか説明します。

 

完全な真空で物質もエネルギーもない箱があるとします。

つまり、そこにはなにもないはずです。

 

しかしある瞬間、2つの粒子が突然生成されます。

そして2つの粒子はぶつかって消滅します。

 

生成から消滅までの時間はほんのごく一瞬です。

 

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実はミクロな世界ではこの現象が日常茶飯事のように起こっています。

これを量子力学の言葉で「不確定性原理」と呼びます。

 

 

どんなに完全な真空空間でも、粒子が生まれては消える営みが無数に起こっています。

 

 

非常に短時間の反応であるため、直接その粒子を観測するのは不可能だと言われています。

でも、エネルギー反応を観測すればこういった現象が起こっていることが分かるそうです。

 

2つの粒子が生成されるときと消滅するときには、エネルギーが発生します。

実際にそのエネルギーの観測に成功しています。

 

 

それにしてもこの反応、まるで自然が真空を嫌っているような現象ですね。

この世界には完全な真空など存在し得ないということなのでしょうか。

 

「有らぬものは無い」

紀元前500年にパルニメデスという哲学者が述べた言葉です。

 

それから約2500年。

あらゆる方法で非存在の追求がなされてきました。

 

しかし、完全な真空を作り出すことすら不可能だと証明されていしまいました。

もしかしたら本当にパルニメデスの言う通りなのかもしれません。

 

 

量子力学は、これ以上分割できないほどミクロな世界を研究する学問です。

この結論その量子力学が発見した現象ですから、現代物理学が出した論理的帰結といえるでしょう。

 

 

おわりに

長いことお疲れさまでした。

これにていったん旅は終わりです。

 

 

ぼくたちの身の回りには目に見えないものまで含めて

さまざまなものが存在しているようですね。

 

すべての存在を解明すればいつか非存在に辿り着くはずだと思ったのですが…

残念ながら現代科学の結論は「非存在など存在しえない」といっています。

 

 

ところが近年になって「この3次元空間は実体を持たないホログラムである」という、なんともエキセントリックな宇宙論が提唱され始めました。

 

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つまりこの3次元空間はもとから存在などしていなかったと…

 

 

なんだこれ、都市伝説じゃん…

と思うかもしれませんね。

 

ぼくもそう思います。

 

 

ただ、思い付きで言っているわけではなさそうです。

一種の思考実験のようなものでしょうか。

 

これに関しては次回の記事で特集しようと思います!!

お楽しみに!

 

 

今後とも宵っ張りラジオステーションをよろしくお願いいたします!!

それでは!!

 

 

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【人類史上初】EHTプロジェクトがブラックホールの撮影に成功!!

 

みなさんこんばんわ!

ガガーリンさんです!!

 

 

間違いなく科学史に残るビックニュースが舞い込んできました!

 

 

 

 

2019年4月10日 22:00

EHTプロジェクト(Event Horison Telescope)主催の記者会見は

異様な緊張感に包まれていました。

 

 

「Event Horison Telescopeに関する成果発表」

と題された発表資料は

国立天文台の本間先生の説明と共に次々に進んでいきます。

 

 

そしてついに 22:07

本間先生はこう告げました。

「これがわたしたちの研究成果です。ブラックホールの撮影に成功しました。」

 

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ぼやっと浮かび上がるオレンジ色の輪郭。

その中心にはなにもなく、これは紛れもなく

ブラックホール」です。

 

 

これには会場からも

「おお~!」と声が上がりました。

 

ぼくも自宅で「うおおおお!」ってなりました。

 

 

 

翌日…

朝からニュースサイトを読み漁り、かなり興奮気味に出社したんですよ。

 

どうしても誰かと歴史的発見を語り合いたくて、さっそく先輩に話しかけました。

 

 

ぼく「昨日のブラックホールのニュース見ました?!」

先輩「そんなのあったね。てかさ、今年度から給料増えるらしいよ。」

 

 

いやいやいや、嬉しいけども!!

お金は大事だけどさ!!

 

… 

 

 

 

人類史上初の発見なのに世間の興味は

案外薄いものなんだと感じて悲しくなりました…

 

専門用語が多すぎて難しかったのでしょうか…

 

 

というわけで、一人でも多くの人に 

この発見のすごさを知ってもらうべく特集記事を書こうと思います。

 

ニュースを見ているだけでは

分からないことがたくさんあります。

 

 

みなさんが気になっているようなことについて

ひとつひとつわかりやすく書いていきます。

 

 

わかるようになれば、こんなにワクワクするニュースは

なかなかないですよ!!

 

ぜひ、この歴史的発見をみんなで喜びましょう!!

 

 

 

 

 

そもそもブラックホールって??

宇宙に存在する天体のなかでもかなり知名度の高い天体のひとつ

ブラックホール

 

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だれでも一度は聞いたことがあると思います。

でもブラックホールが、れっきとした天体であることは、意外と知らない人が多いかもしれませんね。

 

 

このブラックホール、簡単に言うと

「光さえ脱出できない、暗黒の天体」です。

 

 

「光さえ脱出できない」

つまり、光っていない天体です。

 

「光っていない」とはどうゆうことでしょうね。

 

身近な天体を考えてみましょう。

太陽は自分の力で光っていますよね。

 

 

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地球や月は太陽の光を反射するので、

離れた場所からも観測することができます。

 

 

しかしブラックホールは天体でありながら

自ら光ることもなければ、光を反射することもありません。

 

 

こうした理由から、望遠鏡での観測は極めて難しいと思われていました。

 

実際、世界中の研究者が100年以上実験を続けてきました。

 

そんなブラックホールの観測をEHTプロジェクトが成し遂げたのですから、素晴らしいことです!

 

 

ところで、ブラックホールって目には見えないんですよね。

 

だったら、だれがこんなこと言い出したんでしょうね??

 

 

 

ブラックホールの存在を予言した人物とは??

「光さえも脱出できない、暗黒の天体」

こんなのまるでSFじゃないか… 

 

 

そんなSFみたいな話が出てきたのは

20世紀を象徴するある大発見があったからです。

 

 

 

それが「一般相対性理論」です。

 

現代物理学の父「アルベルト・アインシュタイン」が

1915年に発表しました。

 

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一般相対性理論を一言で述べておくと

「時間と空間は相対的な物理量で扱うことができる」

という内容です。

(ぼくも詳しいことはわかりません。おそらく大学で物理学を専攻していないと頭がおいつかないと思います。)

 

 

時間と空間について述べられたこの理論。

当然、ブラックホールのためにつくられたわけではありません。

 

 

しかし、アインシュタインのこの理論をひも解くとひとつの”予言”が現れます。

 

「光さえも脱出できない、暗黒の天体が存在するだろう」

 

 

なぜこんな予言ができるのでしょうか?

 

 

ブラックホールは超重力をもつ天体だ

この予言の意味を理解するためには重力について少し勉強する必要があるので、みなさんがんばってついてきてください。

(もちろん、わかりやすく説明します)

 

 

アインシュタイン一般相対性理論によれば「空間が歪む」ということが起こります。

 

空間を歪ませる原因は「重力」です。

 

 

どういったことか、例をあげてみます。

 

地球が宇宙に浮かんでいる様子を想像してください。

地球は重いので大きな重力を発生させています。

 

つまり、一般相対性理論によれば

「地球は空間を大きく歪ませている」んです。

(実際には、質量を持つものはすべて重力を発生させています。たとえ人間だろうが、アリだろうがかなり微弱ながら重力を発生させていますし、空間を歪めています。)

 

空間を歪ませることをイメージするために図をご覧ください。

宇宙空間に浮かぶ地球は、さながらトランポリンのように空間を歪ませているんです。

 

 

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ここに、地球のすぐ近くを通る光があるとします。

 

大原則として、光は必ず直進します。

 

地球のすぐ近くは空間が歪んでいるので、光は歪んだ空間に沿って進みます。

つまり、遠くから見ると光が湾曲して進んでいるように見えます。

 

重力によって空間が歪み、

光が湾曲しながら進むようすがイメージできましたか?

 

 

さて、ここで面白いことを思いつきました。

 

重力がハチャメチャに大きくて空間が歪みまくってしまうような天体があったら…

光はどうやって進むでしょうか??

 

イメージはこんな感じです。

 

 

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空間が歪みすぎて、もはや底が見えません。

 

 

この歪みを光が通ろうとすると…

深い谷に吸い込まれて、おそらく出てこれないでしょうね。

 

実はこれが、ブラックホールの正体です。

 

イメージできました??

 

 

こうしてアインシュタイン一般相対性理論は、ブラックホールの存在を予言したのです。

 

 

 

ブラックホールはどこにある??

長々とお勉強お疲れさまでした。

 

実はさっきの説明が分かれば、一般相対性理論について 少し理解したことになります。

 

物理学が面白く感じてきましたね!!

 

 

さて、存在が予言されたブラックホールですが…

 

実際にはどうやって探せばいいんでしょうか?

 

 

さまざまな研究によってブラックホールが存在するとしたら、どんな特徴がありそうなのかが、だんだんと分かってきました。

(詳しい特徴は長くなるので省略します)

 

 

ここからは天文学者の出番です。

 

ブラックホールの特徴をもとに、ひたすら望遠鏡を覗き込む毎日が続きます。

 

 

研究者たちは熱心な観測の結果、ブラックホールが存在しそうな場所を見つけました。

 

 

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おとめ座の一部となっている

「M87」という銀河の中心です。

左上の強く光っているところがそうです。

 

これは宇宙ハッブル望遠鏡が撮影した画像であります。

このハッブル望遠鏡の視力は実に1500

 

ぼくの視力は1.0なので…

1500倍の解像度をもった高性能な望遠鏡です。

 

 

ハッブル望遠鏡の観測結果は、ブラックホールの特徴と一致するところが多く

「この銀河にはブラックホールが存在するだろう」と多くの研究者たちは信じていました。

 

 

信じていただけで、確固たる証拠はありません。

なんせ、遠すぎてよく見えないんです。

 

 

ブラックホールは理論で予言されていても、実際に観測することが出来ずじまいとなってしまいました。

 

 

 

ブラックホールの観測方法って??

ブラックホールらしき天体は見つかったけど、これじゃ遠すぎて証拠にならないなあ…

 

 

どうすればいいかは簡単です。

望遠鏡の解像度を大きくすればいいんです。

 

 

これまでの望遠鏡は宇宙に大きい望遠鏡を打ち上げ、

そこから天体を観測していました。

 

名前をハッブル望遠鏡と言います。

 

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でも今回の望遠鏡は一味違います。

望遠鏡は大きければ大きいほど、解像度が高くなります。

 

じゃあ地球くらい大きい望遠鏡を作ってしまえばいいんです。

 

ブラックホールの撮影に成功した「EHTプロジェクト」は、この望遠鏡の技術力が素晴らしかった!!!

ほんとにすごい!!

 

今回の歴史的発見は、望遠鏡の技術が大きな”カギ”です。

 

 

EHTプロジェクトは地球サイズの望遠鏡を、ほんとうに作ってしまったんです!

 

 

いやでも、地球上にそんなでかい望遠鏡を作るのって物理的に無理じゃないですか。

 

 

だったらこうしてしまえばいいんです。

 

 

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複数の望遠鏡を世界中に設置して、採取したデータを掛け合わせてひとつの望遠鏡にしています。

 

 

EHTプロジェクトでは全世界に8基の望遠鏡を連携し、より高解像度な撮影に成功しました。

 

 

その視力は300万

ぼくの視力の300万倍です。

 

途方もない…

 

 

暗黒の天体を撮影せよ

さて、この高解像度の電波望遠鏡を使えば、ブラックホールが撮影できるそうです。

 

 

でもブラックホールって暗黒の天体なんですよね?

どうやって撮影しているのでしょうか…

 

 

重力を勉強した今なら撮影方法も理解できるはずです!

がんばってイメージしてみてください!

 

 

まずは、先ほどの画像を思い出してください。

 

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ブラックホールは空間を極端に歪ませます。

「落とし穴」と表現してもよいかもしれません。

 

 

ブラックホールそのものは光っていませんが、

近くを通る光はその落とし穴に落ちていきますよね。

 

すると、ブラックホールの円周には

落とし穴に落ちそうな光がたくさん見えるはずです。

 

 

 

ブラックホールを真上から見てみましょう。

 

真ん中の暗黒がブラックホールです。

小さい粒を近くを通る光とします。

 

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近くを通る光は、だんだんと暗黒の落とし穴に落ちていきます。

 

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ブラックホールに落ちる直前に光を抽出してみると

こんな感じに見えます。

 

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これを画像解析することで…

 

じゃん!!

 

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ブラックホールの撮影ができる!!

という原理になるわけですね。

 

ブラックホールを撮影するというよりは

その周りの光を撮影していますよね。

 

 

研究者たちはこれを

ブラックホールシャドウ」と呼んでいます。

 

シャドウが撮影できれば

その中心の暗黒にはブラックホールがあるってことですね。

 

 

 

難しかったかもしれませんが、

 

要するに

「高解像度の望遠鏡でブラックホール周辺の光を観測した」

ということです。

 

しかし、ぼくたち素人から見ると

まだまだぼやけて見えますよね。

 

 

そう思っていたら記者会見後の質疑応答にて

ある記者がこんな質問をしました。

 

「もっと高解像度の撮影をするためには、どうすればいいでしょうか?」

 

 

これに対する本間先生の回答は

「もっと大きい望遠鏡をつくる」でした。

 

 

なんとも単純明快!!

 

 

さらに本間先生は

「地球より大きい望遠鏡がつくれたらいいんですが…まあ予算の関係で難しいでしょうね…みなさんぜひ資金調達に協力してください」

と続けました。

 

ユーモアに溢れるお茶目な発言で

とてもかわいかったです。

 

 

なぜこんなに大きなニュースになったの??

 さて、もう一度述べておきますが

2019年4月10日は科学史に残る1日になるでしょう!

 

 

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ここまで読んでくださったみなさんなら

なぜこんなに大きなニュースになるのか想像がつくと思います。

 

 

ブラックホールの存在は

アインシュタイン一般相対性理論から予言されていました。

 

「光されも脱出できない、暗黒の天体が存在する」

 

 

発表されたのはたった1枚の写真の撮影ですが、

「非常に大きな意味をもった1枚」です。

 

 

ぼくたちがこんなにもワクワクしている理由は

 

一般相対性理論が、100年の時を経てブラックホールの存在を言い当てた

 

 

 

どうですか?

100年前の予言の答え合わせの瞬間ですよ

ワクワクしないわけがないじゃないですか!!

 

答え合わせが終わり、

宇宙物理学は新たなスタートを迎えました。

 

これからもいろんな発見が出てくると思いますよ!

見逃さないように!

 

 

さて、ブラックホールの撮影によって

一般相対性理論の正しさが証明されたと言えるかもしれません。

 

 

一般相対性理論は非常に多くのことを予言しています。

 

有名なところで言うと

・光より速く移動できる物質は存在しない

・物質が光の速さまで加速すると質量が無限大になる

・移動速度が光速に近づくほど時間の流れは遅くなる

(実質的に過去にタイムスリップできる)

 

などなど…

 

一般相対性理論が正しければ

過去にならタイムスリップすることができます。

 

でも、真相が分かるのはまだ先になりそうです。

 

 

また、一般相対性理論

量子力学と相性が悪いことでも知られています。

 

量子力学が最近できたばかりの不完全な理論であり、ミクロな世界でしか通用しないのが理由だ。」

といった意見も多くあります。

 

 

しかし、個人的な見解を述べるとするならば

一般相対性理論量子力学を包括するような物理理論が存在する」

とぼくは思っています。

 

理論物理学とは、宇宙空間のどこにおいても普遍的な理論を発見するための学問です。

 

ミクロな世界だけが特別な理由が分からないし、量子力学が間違っているとも思えない。

 

個人的な見解といっておきながらほとんどは、物理学者の言っていることの受け売りなんですけどね!

 

 

 

 

ブラックホールの発見から何が分かるの??

話はまだまだ終わりませんよ!

 

 

「結局のところブラックホールの研究して、なんかいいことあんの?」

こう思った人、正直に手を挙げてください。

怒りませんから。

 

 

ブラックホールについて研究する意義について

さらっとお話しますね。

 

「宇宙に存在する銀河の中心のほとんどに、ブラックホールが位置しているだろう」

といった研究結果があります。

 

 

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丸く渦巻いているのが一つの銀河です。

この宇宙には1000億以上もの銀河が存在するといわれています。 

 

 

銀河はある一点を中心にグルグルと回転しています。

その中心がブラックホールですから、当然ブラックホールは銀河全体に影響を及ぼします。

 

ぼくたちの地球も太陽系に所属していて

太陽系も大きな銀河の一部です。

 

ぼくたちの銀河にもブラックホールがあるでしょう。

(ものすごく遠いので吸い込まれる心配はないですよ!)

 

 

銀河全体に影響があるんです。

ブラックホールが銀河の形成・進化・星の形成に大きく関わっていることは間違いなさそうですよね。

 

 

ブラックホールを研究することで、太陽系や地球の成り立ちについて新たな発見があるかもしれません。

 

 

それに、もしかしたら宇宙の歴史についても大きく関わっているのかもしれませんね。

 

 

地球の歴史や宇宙の謎をひも解くために

これからもブラックホール研究は進んでいきます。

 

 

 

日本の研究者が大きく貢献!!

ここまで読んでくだされば、今回の成果がいかに素晴らしいものかご理解いただけたと思います。

 

そんな素晴らしい成果の背景には日本の研究者が大きく貢献しています!

 

 

EHTの正式メンバーは約200人。

そのうち日本人は22名です。

 

 

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大きく貢献しているというのは実は謙遜で、本当は世界をリードして研究を進めてきました。

 

日本の研究者無しでは、この人類史上初の成果は成し得なかったと思います。

 

 

主に貢献した分野を5つに分類してご紹介します。

 

日本人研究者が貢献した分野

 

1.望遠鏡の建設・運営

先ほど紹介したように、このプロジェクトでは世界中の望遠鏡を使用します。

 

全8基の望遠鏡のうち、2基の望遠鏡の建設を日本が担当しました。

 

チリにあるアルマ望遠鏡については建設から運用まで、すべてを日本が担当しています。

 

2.データ転送装置の開発

望遠鏡からデータ解析装置までは非常に距離があります。

 

高品質なデータ転送技術が求められるなか、光ファイバーによるデータ伝送装置を開発しました。

 

 

3.観測戦略の立案

これは日本人研究者が一番貢献した部分です。

 

ブラックホール観測の提案書作成段階から、主導的役割を果たしました。

 

賢い戦略がなければ、これほどの成果を挙げるには相当時間がかかったでしょう。

  

4.画像解析

これも日本人研究者がかなりの貢献をしています。

 

正確にデータを解析するためには、高度な画像解析の技術が求められます。

 

今回、画像解析に採用された技法は3つあります。

 

・従来から考案されていた技法

・米国が開発した技法

・日本が開発した技法

 

日本は「スパースモデリングを用いた技法」を…

米国は日本に倣った技法を……

両国がそれぞれ開発し、3つの技法を用いて計算した結果が高い精度で一致しました。

 

3つの方法で同じ結果が得られたということは、ブラックホールの撮影に成功したなによりの証拠です。

 

 

今回の成果に関しては、日本のみがオリジナルの画像解析技術を提供しました。

日本の画像解析技術は、世界トップレベルってことですね!

 

ちなみにこの技法で画像を解析するのに、半年以上かかったそうです。

「撮影には昨年6月に成功しており、解析が終了してやっと公表できるようになった」 ということですね。

 

 

5.理論面の貢献

実際にブラックホールを撮影するとしたらどんな映像になるか。

これが分かっていないと、撮影した画像が正しいかどうか分からなくなります。

 

 

事前にシミュレーションをしておくためには、理論上の正しい答えが必要になります。

 

そこで日本人研究者は独自に理論を研究し、シミュレーションシステムを開発しました。

 

こうして撮影した画像が、本当にブラックホールかどうかを判断することができるようになりました。

 

 

 

 

以上、日本人研究者の貢献をご覧いただきました。

 

非常に誇らしい気持ちと同時に、ワクワクさせてくれたことへの感謝でいっぱいです。

 

日本人研究者の貢献、そして世界中の協調によって人類史上初の成果を達成しました。

 

 

日本人研究者のひとりである本間先生は、一連のプレゼンテーションの結びをこのように語っています。

 

 

「今回のEHTの成果は100年にも及ぶ問を解決するとともに、今後のブラックホール天文学の新時代を切り開くものである。」

 

 

 

令和元年=ブラックホール研究新世紀

2019年5月1日より

元号が令和と変わり、新時代が始まります。

 

 

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新時代の幕開けに先駆けて、アインシュタインからの宿題に答えがでました。

 

 

これからもEHTプロジェクトはブラックホール研究を続けていきます。

 

 

今後の展望として発表されたのは

 

・より高解像度の撮影(視力450万)

2020年には望遠鏡をフランスとアメリカに新設し

今回の画像の1.5倍の解像度を目指す。

 

・静止画から動画へ

観測タイミングを増やし、動画の撮影を目指す。

 

ブラックホールジェットの謎を解き明かす

 

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ブラックホールにはなぜかジェット状の雲が発生しており、ジェット生成のメカニズムや、ジェットによるブラックホールへの影響を調べる。

 

などなど…

 

 

 

EHTプロジェクトはこれからも続きます。

今後の発表をワクワクしながら待っています!!

 

 

終わりに

EHTプロジェクトの成果に関する記者会見は

全世界同時中継で行われました。

 

YouTubeにその様子が上がっていますので

少し長いですが、興味のある方はぜひ見てみてください!

 

 

www.youtube.com

 

 

にしても、こんな歴史的瞬間に生きていられてとても幸せです。

 

これからも新しい発見がたくさんあると思います。

みなさんもぜひ、見逃さないように!

 

 

さて、文字数も7500を超えました。

 

こんなに長い記事を読んでくださってありがとうございます。

 

 

この記事をきっかけに、宇宙のことを語り合える仲間がひとりでも増えたらとても嬉しいです。

 

 

これからも宇宙に関する記事を書いていきます。

新しい記事はTwitterで告知しますので、

ぜひフォローをお願いします!

 

宇宙について語り合いましょう!

 

twitter.com

 

今回はこの辺で!

それではよい週末を!!

 

 

【眠れない夜のお供に】非存在のエニグマ

 

 

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どうも!

みなさんこんばんわ!

 

 

宵っ張りラジオステーション

パーソナリティーガガーリンさんです!

 

 

私事ではございますが、

先日、新入社員の歓迎会がありまして

調子に乗ってお酒を飲みすぎました。

 

 

夜中の3時にこれまで味わったことのないような

頭痛で目を覚まし、朝まで頭痛と吐き気と戦い続けました。

 

 

頭痛薬を飲んだつもりだったんですが、

翌朝、冷静になってから

ビタミン剤の瓶のフタが開いているのを見て頭を抱えました。

 

 

みなさんもお酒の多いこのシーズン

お気を付けください。

 

 

さて、本日のテーマは

バリバリの中二病タイトルにあるように

 

非存在、つまり「無」についての

エニグマを解読してみようと思います!!

*1

 

 

宇宙空間における非存在とは

一体どんな状態なのでしょうか?

 

 

真空といわれる宇宙にもたくさんの原子や電磁波が

飛び交っているのはご存じのことと思います。

 

ここで語っている「非存在」とはそれすらも存在しない世界です。

 

宇宙空間に存在するものをすべて取り除いていけば

いずれ完全な「非存在」にたどり着くはずです。

 

 

非常に長い話になりそうなので、

前後編に分けてお話します。

(もしかしたら3編構成になるかも)

 

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エニグマ解読のために、

今夜は真空を作り出すことを考えてみましょう!

 

 

 

 

コーヒーでも飲みながらゆっくりしていってください!

(お酒はほどほどに…)

 

 

 

 

 

古代ギリシャにて

現在では当たり前に受け入れられている「原子論」ですが、

じつは古代からその原型と呼べる理論が存在しました。

 

はじめに原子論を唱えたのは「デモクリトス」という人物です。

 

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このときの原子論は

この世には「ケノン」と呼ばれる空虚な空間があり、

「アトム(原子)」という粒が集まって物体となっている。

といった内容だったようです。

 

 

ケノンとは空虚であり、

非存在という概念はこのころから語られていました。

 

 

しかし、同じく哲学者の「パルニメデス」は

「有らぬものはない」として、原子論を否定しました。

 

古代の人類には空虚な空間というものを

想像できなかったのでしょう。

 

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かわりにパルニメデス一派が提唱したのが、

「宇宙は目に見えぬもので埋め尽くされていて、空虚な空間など存在しない」ということでした。

 

「有らぬものはない」ということは

この後、2000年にわたって信じ続けられることになります。

 

しかし、パルニメデスの理論には確固たる証拠がありません。

彼らは皮肉にも「有らぬもの」を信じ続けてきたのです。

 

 

 

 

こうして真空への求道が始まりました。

 

 

 

世界のほとんどは「無」でできている

世界一の装置でも完全な真空を作り出すことはできません。

 

それにも関わらず、私たちの身の回りは

ほとんど「無」といっても過言ではないのです。

 

ヒントはミクロな世界です。

 

 

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ここからは、真空を考える前に

真空ではない世界を考えてみることにしましょう!

 

 

 

ここにガガーリンさんの部屋があるとします。

 

部屋の中は一見、空気で満たされているように見えますが、

空気を構成する分子の大きさは非常に小さいんです。

 

 

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その大きさは1分子あたり0.3ナノメートルほど。

そして、その分子同士の間隔は3ナノメートルほどだそうです。

 

分子の大きさにくらべて、分子同士の間隔が10倍もあります。

つまり、分子と分子の間には何もなく、真空と言えます。

 

人間サイズで考えるとわかりやすいかもです。

大きな会議室があったとして、たくさんの人がいます。

 

一人の横幅を50センチとすると、前後左右の人と

5メートルずつ等間隔に離れて立っているようなものです。

 

 

 

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(我ながらシュールすぎる絵を描いてしまった…)

 

分子同士はそれくらい離れているということです。

 

 

さらにミクロな世界に目を向けてみましょう。

 

 

実は、原子の中身はもっと空っぽなんです!!

 

原子が原子核と電子から構成されているのは

高校のときに勉強しましたよね。

(覚えてない人は教科書引っ張り出してみてください)

 

 

実はこの原子核と電子の距離が異常に離れているんです。

 

 

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例えば、水素原子の大きさは0.1ナノメートルほど。

そして原子核の大きさは0.000001ナノメートルほどです。

 

 

原子の大きさに対して、原子核の大きさは

その10万分の1です。

 

原子の大きさは原子核の周りを周回する電子の最大円周ですので、

原子核と電子は9万9999ナノメートル離れていることになります。

 

 

何を言っているかわからないと思うので、

絵を描きました。

 

 

原子核をけん玉の玉だと思ってください。

けん玉の玉を大きめに直径20センチとしてみます。

 

 

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そして、玉の部分をもって柄をぶん回す!!

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これはぼくがけん玉を振り回していたころの写真です。

けっこうキツかったです。

 

 

このときの半径は10キロメートルです。

 

いいですか、10キロメートルです。

 

 

ちょっと大きいけん玉を振り回したら

飛行機にぶつかるレベルです。

 

 

 

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ようするにめっちゃ離れているってことです。

 

 

ミクロな世界ではこれが当たり前です。

朝飯前です。

 

 

これだけ離れていれば、

もう原子はほとんど「無」です。

 

 

物質はすべて原子から成り立っていますから、

世界はほとんど「無」といっても過言ではないのです。

 

 

 

Super KEKB

ほとんど「無」なんだったら

あとちょっとの努力で簡単に真空が作れそうですよね。

 

 

ところがそうでもないんです。

 

 

昔から真空をつくるために研究がなされてきました。

現代科学をもってしても真空はつくられていません。

 

 

一方で研究はかなりの進歩をみせているのも事実です。

 

いま世界で一番真空に近い技術をもっているのは

われらが日本の「Super KEKB」という装置です。

 

 

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茨城県つくば市に設立された高エネルギー加速器研究機構

10兆分の1気圧という超真空をつくることができます。

 

1気圧は1013.25hPaですから…

10兆分の1気圧とはほぼ0に近い数字です。

 

 

 

 

これが現状、人類の作り出せる真空の限界です。

 

しかし、完全な真空への探求は

これからもますます続いていくでしょう。

 

いつか原子ひとつすら存在しない空間を作り出す技術が

生まれてくるかもしれません。

 

 

話は逸れますが…

科学者たちはただ単に真空を作りたくて、

「Super KEKB」をつくったわけではありません。

 

量子力学の世界では、

微粒子がエネルギーに変わり、

そのエネルギーが別の微粒子に変わる

 

という現象が当たり前のように起こります。

 

これを研究する機関で代表的なものが

スイスの「CERN」と呼ばれる研究機構です。

 

ここでは「大型ハドロン衝突型加速器(LHC)」という

加速器を用いて日々、研究がなされています。

 

 

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いやー、かっこいいですね…

ロマンしかない…

 

 

もちろんSuper KEKBもそのひとつです。

 

 

加速器というのは、その名の通り

微粒子を加速させる機械のことです。

 

 

2つの微粒子を光の速さくらいまで加速させて衝突させると

その衝撃で微粒子が大量のエネルギーに変換されます。

 

そしてそのエネルギーがまた微粒子に変わる様子を観測するのです。

 

 

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こうすることでエネルギーと質量の関係を導いたり、

新しい原子を作り出したりなどなど…

 

 

 

2つの微粒子を衝突させるときに

酸素や二酸化炭素などの分子が入ってしまうと

狙った微粒子同士の衝突の邪魔になってしまいます。

 

 

より精度の高い実験には

完全な真空がもっとも望ましいのです。

 

 

こうした経緯から、科学者たちは

「完全な真空をつくりだす技術をあきらめることはない」と思います。

 

 

 

 

真空≠非存在 

真空への旅はこれでいったんおしまいです。

お疲れさまでした。

 

 

古代の哲学者たちは、夜になると空が暗くなることを

見えない物質で埋め尽くされていたと考えていたようですね。

 

 

ぼくもこの時代に生きていれば、

同じように考えていたかもしれません。

 

 

そしてついに現代まで、

完全な真空への道を辿りつつあります。

 

 

しかし、みなさんに知っておいてほしいのは

「真空≠非存在」ということです。

 

たとえすべての原子を取り除くことができても

空間にはまだまだ何かが存在しています。

 

 

 

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さて、なんでしょうね?

 

 

次週は「真空にさえ存在する何か」を追求してみようと思います。

 

 

それでは今日はこの辺で!

みなさんもよい日曜日をお過ごしください!!

 

 

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*1:

エニグマとは、もともとは「謎」・「パズル」という意味ですが、

第二次世界大戦中にドイツ軍が用いた暗号器に

その名がつけられたことから、中二病用語として人気です。

 

【眠れない夜のお供に】夜が暗いことは宇宙の永遠を否定するか

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太陽が西の空に沈む。

 

 

空は何万光年も先から届く小さな光の粒たちのおかけで、かろうじて暗闇を免れていた。

 

 

 

深海に生を受けたものを除き、すべての生物のDNAが知っているように

この星には昼と夜が交互に訪れる。

 

 

何千年も前から人類はこのことを知っている。

 

紀元前2000年ごろ

エジプトでは太陽暦が、

メソポタミアでは太陰暦が発明された。

 

古代の人々が天体の動きを注意深く観察し、一定の周期があることを発見したことによる大きな功績だ。

 

 

太陽や月の動きによって、昼と夜が繰り返される。

まるで人々に、光明と暗闇を交互に生きることを強いているかのようだ。

 

 

古代人に宇宙の神秘を想像することはできなかった。

 

 

そのため古代人は、天上には神の住む世界が存在し

地上へ恩恵や災難を与えるのだと考えるようになっていった。

 

 

夜は暗い。

当たり前のことである。

 

 

いや、照明の普及によって夜は明るくなったと言ってもいいかもしれない。

 

しかし、夜を光明の刻と呼ぶには程遠い。

 

 

これは地球人にひとつの真理を提示している。

 

宇宙はあるとき、突然誕生したということである。

 

 

 

 

 

はい、どーも!!

宵っ張りラジオステーションはじまります!

 

パーソナリティーガガーリンさんです。

 

 

今回はかなりイントロダクションに力を入れてみました。

小説チックになっていたでしょうか?

 

 

今日では宇宙について、いろいろなことが

分かり始めてきました。

 

 

そこで今回は

古代の人々は宇宙の起源についてどう考えていたのか

ということを振り返ってみようと思います。

 

 

実は「夜は暗い」ということが

宇宙誕生の秘密を解明する大きなヒントになっています。

 

 

 

まずはコーヒーでも準備して

ゆっくりしていってください!!

 

 

 

 

 

 

 

宇宙は永遠の昔から存在したのか

宇宙はいつ誕生したのか。

もしくは永遠の昔から存在したのか。

 

これは人類が空を眺めるようになってから

長い間議論がなされてきたことのひとつといってよいでしょう。

 

 

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聖書には「はじめに神は、天と地とを創造された」とあります。

(創世記 1章)

 

 

このように多くの宗教では、宇宙は神によって創造されたと語られます。

 

 

しかし、哲学者たちは神の介入を待たずとも宇宙が誕生できることを証明しようとしました。

 

代表的な人物が「アリストテレス」です。

彼は宇宙が「永遠の昔から、いまと変わらない姿で存在していた」

というように考えていました。

 

そうすれば、神の存在を証明しなくとも

この宇宙の存在を証明することができるからです。

 

さらに、「永遠なるものは創造されたものよりも完全だ」と語っています。

 

このころはイデアについて議論がなされていました。

アリストテレスもその一人で、

完全こそ真理と捉えるようにしていたのでしょう。

 

 

このように宇宙の起源を探す旅は

紀元前300年ごろから 始まりました。

 

しかし、この旅は困難を極めることとなりそうです…

 

 

 

テーゼとアンチテーゼ

西暦1800年ごろ

それまで信じられていた天動説が敗北を認め、

地動説が当たり前のように受け入れられるようになりました。

 

しかし、この時代になっても

宇宙の起源は見つかりそうもありません。

 

 

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哲学者のイマヌエル・カント

旅を続けていました。

 

カントは宇宙の起源を解明するために

二つの宇宙のモデルを考案しました。

 

「宇宙は、時間と空間に関して始まりを有している」

カントはこれをテーゼ(定立)と呼び

 

「宇宙は始まりを持たず、時間や空間にも限界はなく無限である」

これをアンチテーゼ(反定立)と呼びました。

 

 

ここからはそれぞれについて

時間と空間が有限であるか無限であるかを証明します。

難しいと思ったら飛ばしても問題ありません。

 

 

 

テーゼについては、

「時間や空間が無限ならば、今という時間は存在しなくなってしまうので、時間と空間は有限である。」

といったように証明が成り立ちます。

 

 

アンチテーゼについては、

「時間と空間が有限であれば、宇宙の始まり以前には空虚な時間が存在することとなる。空虚な時間や空間に宇宙が誕生するための条件がそろうはずがない。つまり時間と空間は無限である。」

という証明が成り立ちます。

 

 

つまりふたつの命題は、ともに証明可能であるということです。

 

相反する二つの命題がともに証明可能な時は、

二つの命題はともに偽、つまり「証明不可能」であることを意味します。

 

 

カントの考案したアンチノミー(二律背反)を用いても

大きな矛盾が生じただけになってしまいました。

 

 

万策尽きました。

天才物理学者がいれば助けてほしいものです。

 

 

 

閑話休題

自分で書いていても非常に難しいお話ですねこれ。

 

宇宙が永遠の昔から存在したのか…

もしそうならば、永遠の昔も、無限の未来も等しくなってしまいます。


未来はいずれ、永遠の過去に辿り着くことになるかもしれません。

そうなれば、時間は過去と未来をつなぐ円環のように流れるでしょうね。

 

 

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これはSF映画「メッセージ」にて、地球外生命体が発した”言葉”です。

 

 

「時間には始まりも、終わりもない」

 

この映画にはそんなメッセージが込められているのかもしれません。

 

 

20世紀最大の物理学者

ここでみなさんご存じの有名物理学者に

ご登場願いたいところではありますが…

 

まずはカントの決定的な間違いを指摘しておきましょう。 

 

みなさんに知っておいてほしいのは、

この時代の人々は「宇宙の存在に関わらず、時間だけは過去から未来へ永遠に流れている」

という致命的な勘違いをしていたことです。

 

これはカントに関わらず、この時代の学者たちの間でも

そう考えるのが自然でした。

 

「時間だけ」というのがポイントです。

 事実はそうではないのです。

 

 

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ここでようやくかの有名な「アインシュタイン」にご登場願いましょう!

 

アインシュタインの発明した一般相対性理論によると

「時間と空間は絶対的なものではなく、力学的な量で表せる」

時間は空間の影響を受けることで0にも無限にもなります。

 

 

つまり、宇宙空間が存在しなければ時間も止まったままです。

正確には、時間は空間の影響を受けて進んだり遅れたりしますが、空間がある特異点に達すると時間が進まなくなります。

(特異点に関しては後述します)

 

 

宇宙が有限だとしても、始まり以前の空虚な時間など存在しないのです。

 

宇宙空間が誕生した瞬間から時間が進みだした、と言ってもよいかもしれませんね。

 

これでカントのパラドックスは解決しました。

宇宙はあるとき突然誕生しても良いのです。

 

これだけでは宇宙の起源を説明することは出来ませんが、

科学の力だけで宇宙の起源を探す準備が整いました。

 

 

宇宙が永遠の昔から存在しようが、

あるとき突然誕生しようが、

神の介入は必要なくなりました。

 

 

では、結局宇宙に起源はあったのでしょうか。

 

 

ハッブル宇宙望遠鏡

 

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星雲と呼ばれていたかすかな光の集団が、膨大な数の恒星が集まった銀河であることを発見したのは1990年にハッブル宇宙望遠鏡が打ち上げられた後のことです。

 

 

この望遠鏡は夜空に広がる無数の恒星が非常に遠くにあることを観測しました。

 

 

 

ハッブル宇宙望遠鏡はさらに大きな発見をしました。

観測したすべての銀河が地球から遠ざかっているのです。

 

 

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「すべて」というのがキーワードです。

 

すべての銀河が時間の経過とともに遠ざかることは、時間を遡れば宇宙はある1つの特異点に巻き戻せることを意味します。

 

 

お察しが良いようですね。

 

 

宇宙はある1点から膨張し続けている。

つまり、宇宙はあるとき突然誕生したということです。

 

 

 

特異点

宇宙はあるとき突然誕生しました。

そして、それ以前はそもそも時間が流れていないので、カントの言うように矛盾が生じることはありません。

 

 

お察しの良い方なら、最後の疑問に気づいているかもしれません。

 

「時間が流れていないなら、なぜ宇宙は誕生したのか」

 

 

この疑問にはいまでも完全な回答が得られていません。

 

現在有力であるといわれている説を紹介します。

「宇宙の誕生の直前に一つの特異点が生じた」というものです。

 

 

特異点アインシュタイン一般相対性理論のなかで語られています。

順を追って説明しますね。

 

 

物体が他の物体を引き付ける力、「重力」は質量に比例します。

 

そして十分に質量のある星同士、主に恒星は

互いに引かれあいます。

 

この恒星同士は最終的にぶつかり、融合し、

さらに質量の多い恒星へと姿を変えます。

 

 

これを繰り返すと、この恒星は自分の重力で押しつぶされ

質量はそのままで体積が限りなく0に近づきます。

 

 

重力のかなり強いこの恒星は空間を捻じ曲げ、

他の物質や近くを通る光でさえ引き寄せて離しません。

 

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こうして恒星は、

質量は無限に増え続けるものの体積は0といった姿になります。

 

 

これではもう恒星とは呼べないですよね。

 

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これを特異点と呼んでいるわけです。

 

 

 

宇宙が誕生するときはその逆のことが起こります。

 

 

空間も時間もない、文字通りの「無」に

突如、体積が限りなく0に近い特異点が現れたとします。

 

 

特異点には無限に近い質量が詰め込まれているので、

そのエネルギーが一気に放出されて宇宙が始まったといいます。

 

以上が、現代でもっとも有力とされている宇宙の起源であり、

宇宙は永遠の昔から存在するわけではないことの証明です。

 

 

 

 夜が暗い

 

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ながながと遠回りをしたように感じます。

夜が暗い理由は分かりましたか?

 

 

答えは簡単です。

 

宇宙が永遠の昔から存在していたとすれば

宇宙には恒星の発する光が蔓延しているでしょう。

 

地球にも例外なくその光は届くでしょうから

夜なんてものは存在しなくなってしまいます。

 

宇宙があるときから時を刻みだしたから

夜が暗いんです。

 

 

夜が暗い、たったそれだけのことが

宇宙が永遠の命ではないことを物語っています。

 

 

紀元前2000年でも、夜が暗いことに変わりはありません。

 

当時の人に夜が暗い理由を教えたとしても、

4000年の遠回りなしでは

やっぱりここまでたどり着けないでしょうね。

 

 

宇宙の壮大さを見せつけられてもなお

科学の力で謎解きの旅を続ける研究者たちには

頭が上がりません。

 

 

ところで、宇宙誕生前には何も存在しませんでした。

完全なる「無」です。

 

「無」っていったいなんなんでしょうね。

次週はこのあたりをご紹介しようと思います!

 

 

ではでは、今日はこのへんで!

 

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みなさんもよい日曜日を!

 

【眠れない夜のお供に】哲学的泥男「スワンプマン」のお話


みなさんこんばんわ!

 

かなり暖かくなってきましたね!

花粉症で苦しんでいるみなさん、ドンマイです。

 

 

宵っ張りラジオステーション

メインパーソナリティーを務めるガガーリンさんです。

 

サブのパーソナリティーなんていませんし、

そもそもラジオのパーソナリティーではなくてただの会社員です。

調子に乗ってすいませんでした。

 

 

さて、夜共シリーズは第2回目となりました。

 

突然ですが、みなさんは「自分が本当に他でもない自分である」と

言い切ることはできるでしょうか?

 

人間の体には60兆もの細胞が存在するといわれていますが、

この細胞も常に分裂を繰り返し、どんどん新しくなっていきますよね。

 

 

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人体を構成する部品が入れ替わっても、

私たちは自分を自分だと間違えることなく生きています。

 

だとしたら、私たちのアイデンティティとはどこに存在するのでしょうか?

 

今夜はそんな人類の永遠のテーマともなりうる話を、

「スワンプマン」という思考実験をもとに考えていこうと思います。

 

 

あったかいコーヒーでも準備して、ゆっくりしていってください。

 

 

  

 

 

泥から生まれた男

あるところに写真家の男が暮らしています。

名前をガガーリンとしましょう。年齢は24歳です。

体重は秘密です。

 

ガガーリンはこの日、撮影のために山に登っていました。

 

この日は朝から雲行きが怪しく、昼を過ぎると少し雨が降り始めました。

ガガーリンは14時ごろ撮影を切り上げ、下山を始めました。

 

 

山の中腹に差し掛かったころ、

1つの雷がガガーリンに直撃し、体をドロドロに溶かしてしまいます。

 

その直後、別の雷がドロドロになったガガーリンに再び直撃します。

 

 

するとすさまじい化学反応によって、

ガガーリンそっくりの人物「スワンプマン(和訳すると泥男)」を作り出しました。

 

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スワンプマンはガガーリンと細胞の作りがまったく同じで、

容姿も、声も、記憶も性格もすべてが同一人物です。

 

 

スワンプマンは当然のように自宅に帰り、

いつものようにブログを書いて1日を終えるのでした。

 

 

ガガーリンとスワンプマンは同一人物といえるのだろうか

この思考実験は、哲学者のドナルド・デイビッドソン

1987年に考案したものです。

 

みなさんはこの話を聞いて、

ガガーリンとスワンプマンは同一人物だと思いますか?

 

 

(シンキングタイム)

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この思考実験の答えを導くには

同一人物というものの基準を2つの解釈でひも解く必要があります。

 

一つは物質的な解釈、そしてもう一つは意識的な解釈です。

 

 

1.物質的解釈

体を構成する物質がまったく同じであるから「同一人物」だと言えます。

 

 

2.意識的解釈

ガガーリンはこれまでの24年間を生きてきました。

 

対してスワンプマンは雷が直撃したときに生まれた人物です。

つまり雷が直撃する前日は存在しないのです。

 

つまり持っている記憶が同じであろうと、まったくの別人物と考えられます。

 

 

ドナルド・デイビッドソンの解釈

思考実験の考案者である、彼の解釈は一応の正解と呼べるものになるかと思います。

 

・体を構成する物質や記憶が同一であるだけで、

 同一人物と判断するには不十分である。

 

・さらに意識面から客観的に見ても、

 連続した存在を証明できなければならないと解釈しました。

 

このように、ドナルド・デイビットソンは

2通りの解釈からガガーリンとスワンプマンは別人であるとしました。

 

 

つまり、この思考実験は

「私たちのアイデンティティは、体を構成する物質ではなく

 その人の生きてきた記録やその時々の意識などのすべてである。」

ということを訴えているようです。


 

閑話休題

ガガーリンとスワンプマンが別人である”

これがこの思考実験の答えです。

 

 

たしかにスワンプマンは雷に打たれるまで存在しませんでした。

でもガガーリンとまったく同じ記憶をもっていますよね。

 

 

ある日突然、分身のように生まれるもの

ここでピンときませんか?

 

ぼくたちはそういった分身を意識的に生み出しています。

そしてその分身を自分の一部と認識しています。

 

 

さて、それはなんでしょう?

 

 

 

現代における解釈はどうだろうか

一応は、ガガーリンとスワンプマンは

全くの別人であるとの答えが提示されています。

 

はたして現代においてもこの解釈は通用するでしょうか?

 

 

現代を生きている私の解釈はこうです。

「同一人物でなければ困る」

 

 

私たちは現代社会を生きる上で

自分のスワンプマンを無数に生み出しながら生きています。

 

 

 

・日ごろ利用するSNSのアカウント

・会社や学校に登録されている個人データ

・銀行口座

・健康保険証や運転免許証

・指紋や静脈や光彩、顔などの認証用データ

・ゲーム内で作成した自分のキャラクター

 (キャラクタークリエイト)

・他人から見た自分の印象

 

ほかにもたくさん、私たちは自分が持つ記録や能力、経験を

データとして様々な形で残しています。

 

 

これらは、私ではありません。

しかし、私の意識や記憶、能力つまりアイデンティティを担っています。

 

しかもこの私より私を詳しく説明してくれるものたちは

私と同時に生まれたわけではありません。

 

銀行口座を開設したとき、スマートフォンを購入した日、

ゲームを始めた日、その時に生まれた私のアイデンティティ。。。

 

つまり、スワンプマンです。

 

 

銀行口座に私のデータをたくさん入力しているのに、

いざお金をおろそうとしたら、

「この口座はあなたのスワンプマンであり、同一人物ではないので利用できません。」

なんてことになったら困りますよね。

 

 

このように現代では、自分のアイデンティティ

自分以外のものに生み出すことが当たり前になっています。

 

 

この思考実験が考案された1987年にはまだまだこれが当たり前ではなかったのでしょう。

 

この思考実験が

「私たちのアイデンティティは、体を構成する物質ではなく

 その人の生きてきた記録やその時々の意識などのすべてである。」

 

ということを訴えているのであれば、

 

現代における解釈はなおさら 

スワンプマンは私の一部であると言い換えられます。

 

たとえオリジナルの自分が雷で死んでしまったとしても、

銀行口座や運転免許証は私の存在を証明するものとして残り続けます。 

 

 

 

バーチャルリアリティーの世界ではどうだろうか

 

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バーチャル空間の自分はスワンプマンそのものだ

 

これはバーチャル空間に存在するライブハウスです。

空想のものではなく、実際にここでライブが行われています。

 

アーティストも、観客もすべての人がVRゴーグルを通して

この世界にログインして自宅にいながらライブを楽しむことができます。

 

バーチャルライブハウスにいる全員が実体ではありません。

リアリティ空間の自分がバーチャル空間のアバターを操作しています。

 

ぼくたちはバーチャル空間の自分を”自分”として認識しています。

 

自分の分身にアイデンティティ(記憶、経験)を持たせているわけです。

まさにスワンプマンです。

 

 

 

映画「アバター」で描かれたスワンプマン

 

映画「アバター」では自分の意識を他の物体に移植し、

あたかも自分が他の星の生命であるように生きる様が描かれました。

 

 

アバターに移植されたとき、

体を構成する物質がまったく違っても意識は自分のものです。

スワンプマンとは異なっていても本質は近いと思います。

 

 

映画中で登場人物たちがまったくの別人であると描かれているでしょうか?

 

 

答えはNOですよね。

 

 

 

現代におけるこの思考実験の答えは

「スワンプマンは同一人物である」です。

 

わりとすんなりと受け入れられる人は、結構多いんじゃないでしょうか?? 

 

 

 

 

さて、この傾向は近年かなり顕著に現れています。

 

バーチャルYouTuberをご存じでしょうか?

バーチャル空間に自分のアバターを作り出して声を重ねる様は映画「アバター」の世界が現実になったといっても過言ではありません。

 

 

ちなみにぼくはキズナアイちゃん推しです。

かわいいです。

 

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エンターテインメントの市場では、バーチャル空間でのライブやゲームなど

様々なものが展開されています。

 

バーチャル空間に自分のスワンプマンを作り出すことは

もはやエンターテインメントの枠だけでは収まらず、

ビジネスの世界をも席巻していきます。

 

 

IT業界ではバーチャル空間の開拓に

しのぎを削る企業も膨大にあります。

 

 

このへんは次週の記事で詳しくお話したいと思っています。

 

 

終わりに

スワンプマンという思考実験から、

自分のアイデンティティを考えるきっかけになったでしょうか?

 

私は自分のアイデンティティ

自分の内に存在する経験や感情、自分が作り出したスワンプマンたちの

すべてであると思います。

 

そして自分らしく生きるということは、

自分から切り離したスワンプマンに惑わされず、

自分だけの内なる声に従うことだと思います。

 

 

思考実験を紹介するつもりが、

説教じみたことを話してしまってすみません。

 

これを機に、みなさんもスワンプマンに惑わされず

自分について考えてみてはかかがでしょうか。

 

 

さて、今週はこのへんにしておきましょう!

次週は「バーチャル空間の開発を急げ!」というテーマでお届けします。

 

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