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タイ タムルアン洞窟遭難事件の裏には心温まるエピソードがあった。

ここ最近、タイのタムルアン洞窟のニュースをよく目にしましたよね。

 

救助活動の進捗や国際的な支援がニュースとなって、毎日のようにどこかで目にしました。

 

しかし、まだ世間に知られていないことが多くあるように感じます。個人的に気になるところもいくつかあります。

 

 

ということで!

事件解決までの流れは他の記事にゆずるとして、この記事ではあまり報道されていないことについて紹介していきたいと思います。

 

そこには心温まるエピソードがありました。

 

 

  

 

全員の救出が完了した

2018年6月23日、地元のサッカーチームに所属する少年12人とコーチ1人がタムルアン洞窟内にて行方不明になりました。

この知らせを受けてタイ海軍が出動し、救助活動を開始しました。

 

救助にあたってはさまざまな方法が検討されました。

 

現地の救助チームのみならず、世界中から駆け付けたダイバー達の協力のもと救助活動が行われたことを忘れてはなりません。

 

7月2日、イギリスのダイバーによって全員の無事が確認されました。

 

7月10日、一人のダイバーの命と引き換えに、遭難した13人全員の救出が完了しました。

 

 

 

探検好きのサッカーチーム

今回この洞窟に入洞したのは地元チェンライに存在する「ムーパ・アカデミー」というサッカーチームで、日本でいう小・中学生の年代の少年が所属しています。

 

ムーパとは野生のイノシシを意味しているようで、

หมูป่า

このように書くみたいです。(豆知識)

 

少年たちとコーチは、サイクリングや川遊びなどに出かけるほどの仲だそうです。

 

さらに、話によると洞窟探検にも時折出かけていたようで、このタムルアン洞窟にも以前入ったことがあるようです。

 

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(google mapより引用)

 

チェンライはミャンマーラオスとの国境近くに位置しています。

事件のあったタムルアン洞窟はチェンライのすぐ北、ミャンマーラオスの国境に存在しています。

 

毎日新聞の報道によると、洞窟は起伏があり、雨水が溜まりやすい形状になっていたようです。 

mainichi.jp

 

 

王女の呪いが眠る山

タムルアン洞窟は「クン・ナム・ナン・ノン」という森林公園の中に存在します。

これはタイ語で「横たわった女性」を意味しています。

 

なぜ、「横たわった女性」と言われるのでしょうか。

実は、この洞窟には「王女の呪い」なる言い伝えがあるというのです。

 

 

「かつて、この地域を支配していた王国がありました。まもなく王国は崩壊し、王族は処刑されることとなってしまいました。このとき王女は胎内に新しい命を身ごもっていましたが、その命に出会うことなく処刑されてしまいました。王女は血の涙を流しながら息絶えました。それ以来、この山には子供に出会うことなく処刑された王女の呪いがかかっているといいます。」

 

「クン・ナム・ナン・ノン」の山脈は横たわった女性のように見えます。そしてちょうど目の位置から流れる川を血の涙と表現しているのです。

 

そしてこの山脈に洞窟があるとすれば、それは王女の胎内を表すことになるでしょう。

 

現地の人たちはこの山脈に気味悪がって近づかないといいます。それなのになぜ洞窟に入ろうとしたのかという疑問残ります。

 

 

 この呪いの言い伝えを知っている現地人は、少年たちの遭難は王女の呪いによるものではないかと恐れたことでしょう。

まるで自分の子供が胎内にいて、それを外敵から守るように閉じ込めている母親の様子に見えてこなくもないですね。

 

この呪いの存在が、ニュースを大きくするのに一役買うことになったのかもしれません。

 

誕生日のサプライズ

危険であることも承知で、大人も同伴していたにもかかわらずチームメイト13人が全員で洞窟に入った動機は何だったのでしょうか。

 

あれこれ調べているうちに、ぼくが感じていた一番の疑問の答えを見つけることができました。

 

この日は、チームメイトの一人が誕生日だったというのです。

 

少年たちの親族が現地のジャーナリストの質問にこう答えたそうです。

「この洞窟はたびたび少年たちの遊び場となっていて、この日は誕生日を迎えたチームメイトにハッピーバースデーを歌ってあげるんだといって出かけていった。」

 

なるほど、そうゆうことだったんですね。

誕生日祝いとなれば、雨が降るとわかっていてもこの日じゃないとダメですよね。

 

しかも、この洞窟にはもうひとつの側面があることが分かりました。

 

洞窟内は鍾乳洞になっていて、幻想的な光景をみるために海外からの観光客も少なくないほど、魅力的な場所だったのです。

 

友達の誕生日を祝うにはうってつけの場所ですね。

 

ニュースを初めて聞いたときは、大人が付いていながら無責任だ、なんて考えてしまいましたが、今となっては彼らの気持ちが十分わかります。

 

特別な場所で、仲間全員で、誕生日を祝ってあげるという、優しい少年たちのなんとも暖かいエピソードを知ることができました。

 

イーロンの潜水艦

少年たちの救助にあたりさまざまな方法が検討されたとお話しましたが、そのうちのひとつにイーロン・マスクが関わっていました。

 

イーロンはこの事件について知り、即座に「脱出ポッド」を製作し、プールでテストを行いました。

 

さらに本人も一緒に潜水艇をタイへ移送中だとツイートしていました。

 

 

 

SpaceXのロケット「Falocn 9」に用いられる液体燃料移送管を改造した、一人が乗れる潜水艇で、軽量かつ極めて頑丈に作られたそうです。

 

 イーロンが到着したのは、全員の救助が完了した後だったようで、この潜水艇の出番はなかったようです。

 

しかし、世界中のどこにいても、技術を駆使して救助活動に向かう姿はヒーローそのものでしょう。

イーロンはこの潜水艇に「Wild Boar(イノシシ)」という名前を付け、現地に寄付しました。将来同じようなことが起きても大丈夫なようにと。

 

 

しかし、この潜水艇はダイバーが二人がかりで牽引しなければ意味を為しません。きっと、現地に駆け付けたダイバーたちを信じての行為だったのだと思います。

 

 

少年たちはプロのサッカー選手にはなれない

救助活動が終わったころ、ムーパ・アカデミーの創設者ノパラット・カンタウォンさんはある事実を打ち明けました。

 

救出された13人のうち4人が無国籍であること。

それ故、遠征試合に行くのも一苦労で、このままではプロのサッカー選手になることはできないということでした。

 

タイではもともと国籍取得のために動きはあったようですが、まだ手続きに非常に時間を要しているようです。

 

しかし、今回の件を受けて、この動きも加速していくことになるでしょう。

 

「生きて出られたのだから、もっとサッカーがうまくなりたい」と話す少年たちにぜひチャンスをあげてほしいと願っています。

 

 

最後に

洞窟での遭難事故のニュースはたびたび耳にします。そのたびに安易に踏み入る場所ではないんだということを再認識します。

 

しかし、その恐怖を打ち消すほどの魅力があることも事実です。

 

 

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写真は岐阜県にある、飛騨大鍾乳洞です。

 

 

 

今回の事件では、世界中からたくさんの協力があって、素直に素敵だと感じました。

救助活動に協力したダイバー達や、潜水艇を製作して駆け付けたイーロン。

そして日本の少年サッカーチームがムーパに向けた応援メッセージを送っているのも見かけました。

 

同時に自分もなにか協力できなかっただろうか。とも思ってこの記事を書きました。

この記事で少しでも多くの人が、世界中から協力があったことを知って頂けたら嬉しく思います。